景観を愉しむ家 K様邸/家族構成:3人
端正でありながら、屋根の組み合わせ、窓の形状、軒の深さで、表情豊かな住まいとなった。 車寄せを組み込んだデザインも瀟洒なイメージ。
Story
今の自分たちがほしい時間を住まいに託す
爺ヶ岳、鹿島槍、五竜、唐松、白馬三山など北アルプスの雄姿を、リビングから、デッキから、2階の書斎から、そして寝室からも眺める。そんな暮らしをかなえた夫妻は普段、仕事の都合でご主人は愛知県に、奥様は東京にお住まいだ。週末になるとこの家で落ち合う。
昔から登山やクライミングが共通の趣味だった二人が、日本の山でいちばん好きなのが北アルプス。その山並みを景色として愉しみ、登るにもアクセスのいいこの場所に家を建てた。子育てを終え、自分たちの時間を大切にしたいと考えたからだ。
家づくりのポイントは三つ。アルプスの眺望を生かすこと。薪ストーブを置くこと。シンプルモダンな家であること。この条件でいくつかの工務店にプランを出してもらったところ、サンプロの提案が最もイメージに近かった。以後の打ち合わせでは、当初の基本プランを微調整した程度だ。デザインもコンセプトも暮らしやすさへの提案も申し分なかったと、ご主人は振り返る。
左:夫妻お気に入りの北欧ノルウェーの薪ストーブ・ヨツール。これ一台で家中が暖まるよう、断熱やサッシにはしっかりコストをかけた。/ 右:オールステンレスのアイランドキッチンは、奥様たっての希望だった。見せるキッチンとして部屋の雰囲気とも相性がいい。
左:ダイニングからキッチンを望む。ストレートな動線で、デザイン性と機能性に優れる。/右:洗練された空間に仕上がった2階の書斎。ここからの北アルプスの眺めも素晴らしい。
オレンジがかったチークの床は、モノトーンな空間に温かみと上質感を与えている。
片流れの外観はシンプルでいて、軒が深い分、ゆとりを感じさせる。室内は、珪藻土の壁や建具の白が際立ちながら、オレンジがかったチーク材の床、階段や手すりにあしらったスチールの黒などが、上質感をより増している。とても明るい空間だが、その明るさが大人なのだ。
北アルプスを縁取る窓は北側だから、眺望のよさと家の暖かさをどう調和させるかが、大きなテーマだった。断熱性を最大限高め、樹脂製サッシを用い、真空トリプルガラスを採用した。おかげで寒さ厳しい信州でも、薪ストーブ一台で家全体の暖房をまかなえる。
吹き抜けのある大空間で、リビングダイニングや寝室、水周りの他は、書斎、ゲストルーム一室と、間取りは至極すっきり。一方、玄関クローク隣の土間収納にはトレーニング用のクライミングウォールがある。庭には信州の山にある雑木や山野草を植え、季節の移ろいを愉しむ。ここは夫妻が週末を過ごすための住まいだから、二人の時間が流れればそれでいい。その割り切り方が贅沢で、しかも格好いい。
「子どもを育てる家ではないし、お年寄りにも不向きかもしれない」と夫妻は言う。その言葉には、自分たちが今ほしいものに向き合えた満足があった。
左:天井の間接照明がクールなリビング。テレビやコレクションボードも気持ちよく壁に収まっている。/右:高台に立ち、住宅地の一番奥に位置するので、眺望は抜群。
左:玄関奥の土間収納には、練習用のクライミングウォールをしつらえた。こうした場所を暮らしの前面に出さないのが、大人の愉しみ。/右:土間がL字になった玄関は、出入りしやすく、よりいっそう広く感じられる。
左:バスルームもシンプルモダン。浴室からは、自分たちが手塩にかけた庭が眺められる。/右:吹き抜けや階段の手すりは、黒のスチール。日の光あふれる明るさの中へ、シャープな味付けをして全体を引き締める。
Owner’s Voice
子供と向き合う時間が生まれました
Q1家づくりで一番大切にしたことは?
家族がそこでどんな時間を過ごすかということ。
Q2こうしておいてよかった、と思ったことは?
窓からの眺望と暖かさを、どちらも犠牲にすることなく、高いレベルで両立できたこと。
Q3このビルダーさんに頼んでよかったことは?
最初からプランがよかった。無垢の木や珪藻土など使う素材にも安心でき、パントリー等生活への提案も優れていた。
Plan & Data
- 敷地面積
- 425.83㎡(125.81坪)
- 延床面積
- 143.10㎡(43.29坪)
- 1F面積
- 97.29㎡(29.43坪)
- 2F面積
- 45.81㎡(13.85坪)
- デッキ面積
- 27.00㎡(8.16坪)
- 設計者のこだわり
- 登山が趣味のご夫婦で、北アルプスを眺めながら暮らしたいという夢を叶えた家。小高い丘の上に立つ家からは北側の北アルプスの眺望を最大限に楽しめるよう、プランニングと窓の配置にこだわりました。また、窓の多い家のため、真空トリプルガラスを採用して断熱性を高めました。夢の暮らしのスタイルと快適性を両立させたデザイン住宅です。
著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.24より転載しています。
こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。