クールさに込めた気遣いと安心

クールさに込めた気遣いと安心 松本市/A様邸/家族構成:4人

都会的でシャープな印象のA邸。断熱性など住宅の基本性能はしっかり押さえながら、屋根の破風を二重にするなどデザイン面でも細やかに気を配った。

Story

吹き抜けのあるリビングと、天井の低いダイニング・キッチン。それぞれで過ごす状況に応じた落ち着きを創造した空間設計だ。

左:A邸の西側は交通量の多い道路に面しているので、音や視線を緩和するためにも、大きなスクリーンのようなR状の外壁を設けた。/ 右:クールな建物にマッチした外構。住まいの懐を深く見せ、住む人の鷹揚な人柄を思わせる。駐車スペースとしても余裕がある。

プライベートとパブリックの境に
配慮して暮らしやすく

A邸は、都市部によく似合うクールな外観の住まい。特に印象的なのは、道路に面してRをなす大きな壁でしょう。一見して住まう人のセンスのよさが感じられます。この壁には、お施主さんの、家族や周囲への気遣いが隠されているのです。
目の前の道路は交通量が多く、音や外からの視線が気になる場所。それらを緩和し、家族のくつろぎを確保するため、横長の間取りにしてリビング・ダイニングを道路から遠い東側に置き、併せてスクリーンのような壁を設けました。ゆるいカーブのついた形状は、道路の見通しをよくするためでもあります。「子どもが外出するとき安心ですし、奥にお住まいのご近所さんが、車で道路に出るときにも便利です」とご主人。さらにRの内側は、玄関と玄関ポーチ、外部物置、トイレとして有効に活用しています。

左右に十分な間を取りながら、照明効果や色使いによって、奥行きを感じさせるキッチン。冷蔵庫は右手のパントリーに置くことで、生活感を上手に抑えている。

東西に長い間取りには、外の音などを抑える以外にも理由があります。玄関を入ってすぐ右手の部屋は、ネイルアーティストの奥様がお客様を迎えるサロンです。新築を機に奥様は独立を決意。その背中を押すため、ご主人は自宅にこのサロンを設けました。家族が過ごすリビング・ダイニングとの間は、廊下とドアを介しているので、サロンのお客様も家族もそれぞれの空間で気兼ねなく過ごせます。
リビング・ダイニングは吹き抜けを生かした2階と一体感のある空間。たっぷり注ぐ日差し、無垢の木のぬくもりとホワイトの壁の優しさが、温かな家族の時間を約束します。壁をよく見ると、塗り方をところどころ変えています。「夜になって間接照明が灯ると、壁の陰影に癒やされるんです」と奥様。キッチンを中心にして、洗面・ランドリールーム、バスルーム、反対側のパントリー、勝手口と連なるストレートな主婦動線も、横長の間取りのたまもので、とても使い勝手がいいそうです。
階段脇の壁は、外壁のデザインを連想させるR状になっていて、「ダイニングにいても圧迫感がなく、2階への動線もゆったり確保できました」。上下階を結ぶ階段は、踏み板のサイドと手すりに効かせたアイアンの黒が空間全体を引き締めています。
A邸は、プライベートとパブリックの境を気遣い、家族が安心して快適に過ごしながら、ご近所やゲストにも心配りする、住む人の思いやりにあふれたお宅でした。

左:R状の外壁の内側のスペースを活用して、外部物置と玄関ポーチを設けた。/ 右:南に面した窓からはたくさんの日が注ぎ、壁や天井の白を際立たせる。清潔感と和みあふれるリビングには、自然と家族が集まって来る。

左:家族以外にお客様の出入りも多いので、玄関はパブリックかつシックな印象に仕上げた。/ 右:廊下の壁にはニッチを利用した飾り棚をあしらった。季節ごとにディスプレイを変える楽しさも。

左:玄関を入って右手は、ネイルアーティストの奥様の仕事部屋。家族のスペースとは異なり、お客様を迎えるにふさわしいサロンに。/ 右:階廊下の吹き抜け面は、手すりに強化ガラスを施した。1階との一体感も生まれ、2階にいる子どもの声もよく聞こえる。

左:トイレは外壁のRの内側スペースを活用。曲線に沿って手洗いを配したことで、お洒落な雰囲気になった。/ 右:子供部屋。ドアを開ければ気持ちのいい吹き抜け空間なので、子どもが扉を締め切って、部屋にこもることもない。

Owner’s Voice

家族みんなが愛着の湧く家を形にしてくれました

  • Q1家づくりで一番大切にしたことは?

    家族のつながりです。リビングに自然と家族が集まるようにしました。

  • Q2こうしておいてよかった、
    と思ったことは?

    子どもの声や気配をいつも感じられること。内装の白と黒のバランス。外壁とリビングに設けたRの壁。

  • Q3このビルダーさんに頼んで
    よかったことは?

    設計、現場、コーディネーターの連携が素晴らしい。職人さんも含め客の気持ちを共有して仕事をしてくれます。

Plan & Data

敷地面積
220.64㎡(66.74坪)
延床面積
132.54㎡(40.09坪)
1F面積
77.55㎡(23.46坪)
2F面積
54.99㎡ (16.63坪)
設計者のこだわり
お施主様の家族や周囲への優しさ、きづかいを建築で表現しながら、家族が安心できる空間を作ろうと考えました。デザインだけでなく機能も持たせたR状の壁や、明るく気持ちのいいLDK。使いやすい生活動線などにもこだわっています。

著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.28より転載しています。
こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。

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