上田市/注文住宅/余白の美から紡ぐ豊かな情景 建築士が描いたアートな住まい

上田市/注文住宅/余白の美から紡ぐ豊かな情景 建築士が描いたアートな住まい 上田市/K邸 家族構成/夫、妻

余白で完成する美がある。この家に住んで、それを知った。非日常感を醸す空間演出と心ほどける居心地の良さが共存しているから、多彩なシーンを満喫したい今もゆっくり過ごしたい将来もきっと受け止めてくれる。建築士が〝あえて〟つくりこんだ余白に今日はどんな美しい情景が重なり合うだろうか。

群青の夕景に浮かび上がるK邸。ゆるやかに流れる屋根は背後の里山の稜線を思わせ、豊かなテクスチャーの塗り壁と相まって周囲の景観と見事な調和を見せる。玄関からL字に伸びるタイルデッキは、庭までを含めた暮らしを楽しんでほしいという建築士の狙い。

Story

印象的な表情を演出し、住まい手の心を満たす空間

「余白」の発想が生み出す
洗練された居心地の良さ

「希望は、ホテルのようなセンスと居心地の良さを併せ持つ」。そう語るKさんご夫妻の新居は、ホテルや美術館を連想させるアーバンモダンなたたずまい。テーマカラーは、濃淡でバリエーションを付けたグレーと黒。造作棚や階段、柱などの木部に塗装を施し、ナチュラル感を程よく抑えて全体の雰囲気にマッチさせている。
洗練を極めた空間の鍵が「余白」だと教えてくれたのは、建築士の森川さん。「空間を美しく魅せるため、壁面の使い方をひと工夫しました。キッチンやデスク周りのドアや棚、収納などを隠し、生活感をシャットアウト。すっきり暮らせるように全体計画しています」。
ご夫妻が求めるハイセンスでくつろげる住まいを叶えたのは、ノイズをそぎ落として美しさを導き出す手法。建築のプロフェッショナルによる“引き算の発想”が見事だ。

笑い声が響き合う
友と過ごすマイホーム

高校の同級生だというご夫妻には共通の友人も多く、友人を家に呼んでワイワイ過ごしたいというのが新築時の夢のひとつ。「この家のおかげで夢が叶いました」と奥さま。折ごとに友人が集っては楽しい時間を過ごし、そのまま泊まっていくことも多いのだとか。ダイニングとリビングがL字にゾーニングされたレイアウトは、「テーブルで飲んでいる人、ソファで寝転がっている人…など、みんなが思い思いに過ごしてくれたらいいな」と、にぎやかに過ごすひと時をイメージしながら考えたものだ。
玄関ポーチとひと続きのワイドなテラスもK邸の特長。テラス窓を開けるとフラットに続く土間へ、そしてリビングへと、屋内外が自然につながっていく。そんな開放感のあるつくりのおかげで、「BBQをするときは、テラスから上がってくる友だちもいますね(笑)」とご主人。そんなウェルカムでおおらかな雰囲気もまた、K邸の魅力だ。

「自分たちのオリジナルの家がつくれそう」と、ふたつとして同じ家がないことも、サンプロを選んだ理由とか。モダンなデザインが好きなおふたりはキャンプギアも黒で統一。テラスでくつろぐ時間やアウトドアクッキングなど、住まいが暮らしごとトータルコーディネートされている

一見なんてことない壁面ですら、暮らしを美しく装う工夫のひとつ。例えば、キッチン脇のタイル張りの壁部分は冷蔵庫や収納棚のスペース。食洗機やコンロなどのスイッチ類も見えないように配置され、ムダを削ぎ落したシンプルさに徹底的にこだわっている

くつろぎたいソファエリアは、天井を設けてほどよい落ち着きを演出。「一方、両サイドには吹き抜けがあり、目線の先は視界が抜けて開放感も得られます。”落ち着き”と”開放感”という相反する要素を両立した空間ですね」と森川さん

点けるとガラスのような透明感を、消すとカッパーのような艶を見せる「トム・ディクソン」の個性的なペンダントライトがダイニングの主役。ピクチャーウィンドウから見えるイロハモミジと呼応するようなコーディネート

洗練された美をまとい、優雅な暮らしを導く

和紙畳、抑えた天井高、低い位置に取った窓など、和空間のセオリーを踏襲しながらも、K邸全体のイメージを損なわないようにデザインされた和室。程よいこもり感は、来客にも好評

来客が多いK邸。和室はゲストルームになるため、トイレや洗面が気兼ねなく使えるよう和室脇に配されている。「お互い遠慮せずに使え、ノーストレスで過ごせます。将来親と同居することになっても重宝するはず。将来を見越したプランニングがすごい」とご主人

玄関ホールからLDKに向かう途中、廊下でふと顔を上げると、天井まで届くスリット窓が視界に飛び込む。暗くなりがちな廊下に光を届け、視界が外へ抜けることで伸びやかさも演出

両側が吹き抜けになった空中回廊のような2階ホールは、非日常感を味わえる空間。どちらにも大きな窓があり、四季折々の自然の表情や市街地の夜景など、屋外の情景を暮らしに取り込める。「広いのでセカンドリビングとしても使いたい」と奥さま

2階ホールを挟んだふたつの吹き抜けも、ホテルライクを演出するリュクスデザインのひとつ。上階からも1階リビングの様子を感じられ、家族が常にゆるやかにつながる

脱衣室兼ランドリールームの扉を開けると外干しテラスへ。向かいのパントリー側からも出られるため、洗濯、ゴミ出し、買い出し品の収納といった家事がここで完結。ホテルライクなK邸の生活のバックヤードを、コンパクトに集約

間接照明が照らす造作の洗面台は、まさにホテルを彷彿とさせるシックなしつらえ

シンプルで余白を大切にしたK邸だからこそ、こんな大胆なデザインの照明が美しく際立つ

仕上げの素材感や色づかい、間接照明の灯り具合などを計算し、くつろぎと落ち着きに満ちた空間を創出。「友人たちも『この家で飲むお酒は格別』と言ってくれます」とご夫妻

ダイニングの東南角に袖壁を設け、隠れ家のようなスタディスペースを設置。小さな空間だが建具を付けなかったせいか閉塞感は全くなく、ほどよいこもり感で仕事に集中できそう

POINT1

炎を見つめる至福のひととき

「床下エアコンとパッシブ設計で暖房は十分なのですが、炎の雰囲気が好きなのであえて薪ストーブを設置しました。揺らめく炎を見つめ、座り心地のいいバタフライチェアに座ってハイボールを飲む時間が、最も癒されますね」

POINT2

テラスから眺める夜の室内がお気に入り

「過ごしやすい季節は、テラスにアウトドアギアを出してゆっくり過ごします。この間は串カツを揚げました。隣家は離れていてプライベート感があるのも◎。室内の照明効果が素敵なので、暗くなってから中を眺めると思わずうっとりしてしまいます(笑)」

POINT3

臨場感たっぷり。大好きな映画に没入

「ソファに深々と座って、大好きなアクション映画を観るのが最近のマイブーム。大画面とウーハーで臨場感たっぷりですが、TVやサウンドバーの配線は隠ぺいしてもらい、TVボードも無いのでスッキリ。まるで映画館のように画面に集中できるのがいいですね」

寝室は2階へ。“眠りのための空間”に徹し、ひときわシックで落ち着いた雰囲気に仕上げた

奥さまのひと目惚れで選んだダイニング照明は、「点いているときの華やかさも、消したときのシックな様子もお気に入り」とご夫妻。それぞれの表情の違いを楽しめるのは、デザインとして計算された余白を持つ住まいだからこそ

オリジナルのオーダーキッチンは、シックなテイストを際立たせるセラミックストーンのワークトップを採用。傷や熱、汚れに強い高機能素材で、タフに使い込める実用性も併せ持つ

周囲に風景を遮るもののない、里山の中に建つK邸。モダンでありながら自然景観とも違和感なく調和している

効果的な照明計画もこの家の大きな魅力。LDKはキッチン頭上の間接照明がメインライトで、天井に点在するダウンライトはサブ照明としてシーンに応じて使い分け

Builder's Eye
むやみに物を増やさず・置かないKさんご夫妻。生活感を排除したホテルライクな住まいをご希望でした。理想を目指し、空間のノイズになるようなものはできる限りそぎ落とし、余白を楽しめる空間美を追求。素材使いやカラーリングも吟味することで、スタイリッシュでありながら豊かな表情を見せる、唯一無二の住まいになったと思います。
(株式会社サンプロ 森川真樹さん)

Housing Data

家族構成
夫、妻
施主
30代・会社員
竣工
2022年12月
構造・工法
木造軸組工法
工期
約7カ月
外部仕上げ
屋根/ガルバリウム鋼板縦葺き
外壁/ジョリパット
[内部仕上げ]1F
床/3層フローリング、一部磁器質タイル、フロアタイル
壁/珪藻土壁紙、一部ビニルクロス
天井/珪藻土壁紙
[内部仕上げ]2F
床/突板フローリング
壁/珪藻土壁紙、一部ビニルクロス
天井/珪藻土壁紙、一部ビニルクロス
設計・施工
株式会社サンプロ

著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「ナガノの家」VOL.21より転載しています。
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