和を感じる2世帯の家塩尻市
STORY
2世帯それぞれの和モダン
平屋と2階建て、二つの切妻屋根を組み合わせたシンプルな外観。
2世帯別々の間取り。
そして、両者に共通する和モダンテイスト。
2世帯それぞれの住みやすさを追究した、上質な2世帯住宅である。あえて暮らしを分けて仲良く
2世帯住宅の間取りで重要なのは、何を共有して、何を別々につくるか。
これは住まい手によって考えが違うから、普遍的な正解がない。家族の数だけ答えがあるのだ。
この住まいで共有しているのは玄関土間とシューズクロークだけ。玄関土間から二方向に分かれている。
お互いを別個の人格として尊重しているからこその選択。
かえって、良好な人間関係がうかがいしれるというものだ。
その証拠に、玄関以外にもう一つ、共有しているものが住まいの外にある。南側の庭だ。
各世帯とも庭側に掃き出し窓を設け、容易に庭へ出入りできる。
この庭が共通のリビングとして、世帯間の絆を深めてくれることだろう。2世帯それぞれの暮らし方
この住まいは2軒の家が玄関だけ共有しているのと同然で、間取りもまったく違う。
たとえば、親世帯はワンフロアで暮らす平屋型。
効率的な間取りで、キッチンと隣り合う脱衣所の間に勝手口がついているから、買い物帰りも物干しでも同じ勝手口から出入りできる。寝室から浴室やトイレに行くときも階段の上り下りが不要だから安心だ。
一方、子世帯は、LDKは1階に、各個室と浴室は2階に配置している。
寝室と浴室を段差なく移動できるのは親世帯と一緒。バルコニーがついているから、洗濯と物干し、そして収納が全て2階で行える。
こうして間取りの異なる2世帯に共通するのは、和モダンのセンス。
ダークグレイの化粧梁と床、そしてメイプルホワイトの珪藻土塗り壁が織り成すコントラストは、伝統的な信州民家を想わせる。
違う暮らしを送りながらも精神的な深い部分でつながっている、心のありようを象徴しているかのようだ。使いやすい外部収納と外流し
かつての日本民家が広い土間を作業空間としていたように、農作業に従事している人にとっては土足で作業できる場所が欠かせない。
この住まいでも、親世帯の勝手口の先に農作物や道具をしまう外部収納を用意している。
またその近くには流しを設置。畑仕事で汚れた道具が洗えるからありがたい。
現代の民家ならではの工夫である。住まい手の経験で窓の位置を
住まいづくりで頭を悩ませるのは窓の位置。
日当たりや風通しを確保したいのは山々だが、周囲からの目線がどうしても気になる。
そこで、この住まいの場合、以前からこの地を知る住まい手の経験が生きた。
道路に面する北側はプライバシーを守るため、西側は西日をさえぎるため、それぞれ窓は小さくやや高めに。
隣地との間に余裕がある親世帯東側はやや大きめに。
そして庭を向いた子世帯東側と親世帯南側は前述の通り掃き出し窓に。
こうした、メリハリの効いた窓の存在が、住まいを美しく、暮らしを快適にしてくれるのだ。