季節を愛でる家松本市

構造:木造2階建/敷地面積:96.42坪/1階面積:28.06坪/2階面積:11.37坪

「大人の佇まいを持つ家」

美ヶ原のなだらかな稜線を思わせるような大屋根。
耐候性に留意しながらも素朴な象牙色の外壁。
周囲の環境に十分配慮した、大人の佇まいを持った注文住宅である。

STORY

  • 季節を愛でる家

    低く慎ましくおさえた屋根のシルエット

    通りからは平屋と見間違えるほど低くおさえた屋根。
    これは、かつての日本建築が備えていた美徳であり、どれだけ室内が豊かだとしても、決して周囲に誇示したり威圧感を与えたりはしないものなのだ。

    日々の暮らしに美を求める「民藝運動」が活発だった松本だからこそ、こうした住宅が生まれたのであろう。

  • 季節を愛でる家

    タテヨコに伸びやかなコの字形の間取り

    建物は、敷地の西南に設けた庭を囲むようなコの字形の構成。
    敷地の東側で南北に伸びた軸線上にキッチンやバス・トイレなどの水回りを置き、そこから西側に二本の“腕”を伸ばして各居室を配置している。

    室内は、LDKも個室も実にゆったり。
    リビング・ダイニングと、その西側にある和室は、建具を引き込めば、伸びやかな一室空間に。
    また、リビングの上部が吹き抜けになり2階まで続くので、タテヨコに伸びやかな空間なのだ。

  • 季節を愛でる家

    庭を通して季節の移ろいを楽しむ

    住まいの“中心”は西南に位置する庭。
    玄関は庭側にあるし、どの場所からも庭向きの窓が開く。
    特に北側のLDKと和室は、南側に長い縁側を設け、四季折々の庭の様子を楽しむことができる。
    縁側の上部はしっかり軒が出ているから、雨も気にならない。

    本来、自然を楽しむことに長けた日本建築は、室内と外部の中間領域に本質があると言われる。
    住まいの内と外が隔絶されず、つながっているからこそ、室内でも季節の移ろいを感じることができるのだ。
    とすれば、この住まいも、まぎれもなく日本建築の本質をつかんでいるといえよう。
    現代の注文住宅が、古き良き伝統を受け継いでいることが、実に喜ばしい。

  • 季節を愛でる家

    自然の力で快適に

    寒暖の差が大きい松本市だけに、夏と冬の備えは重要だ。
    といっても、エアコンに頼りきりでは味気ない。

    気密・断熱はもちろん、夏の日射遮蔽と冬の日射取り入れ、そして風通し。
    これらの性能を高めることで、電気に頼らず快適な住環境を得る手法を、パッシブデザインという。

    この住まいではその手法を取り入れ、季節の移ろいを楽しむ暮らしを、性能面からもバックアップしている。  
    さらには、エアコンの暖気を床下に送り、窓際の吹き出し口から送ることで暖房効率をアップ。

    太陽光発電も取り入れ、省エネ化を図っている。
    日本の伝統的なライフスタイルを、地域の気候風土に合わせ、現代の技術でより快適に。

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