茅野市/リノベーション/明治時代の古民家から150年の歴史と現代美が同居する邸宅へ

茅野市/リノベーション/明治時代の古民家から150年の歴史と現代美が同居する邸宅へ 茅野市/S邸 家族構成/夫、妻

真っ白な壁にジェットブラック塗装の漆黒、床のブラックウォールナットの濃茶という3つのカラーが共鳴する、洗練されたLDK。無垢床はオイル塗装により、質感や天然の色味を引き出した。代々受け継がれてきた見事な庭を楽しめるよう、土間沿いには大きな開口が。四季折々移り変わる景色を、日常に取り込んでいる

Before

工事前は農家などでよく見られる納屋として活用。構造材あらわしの無骨な雰囲気だった。入口上部は吹き抜けとなっており、2階とつながっていた

Story

綿々と紡がれるストーリー
家族の歴史と絆をつなぐ家

150年前に移築されたご実家の納屋を、二世帯化のためにリノベーションしたS邸。ブラックウォールナットの無垢床の高級感や掘り込み式のサンクンリビングなどが醸す洗練された雰囲気に、うっとりと見惚れてしまう住まいだ。
もともと仕切りの少ない空間だったが、南側にLDKを配置するとダイニングの中央に太い柱が残ってしまうなど、理想の間取りと躯体強度の両立はひと筋縄ではいかなかった。そこでサンプロが提案したのは、柱を2本にして強度を確保し、開放的なLDKを叶える方法。緻密な計算による耐震補強やシミュレーションをもとにした断熱施工なども施し、安全性や四季を通じての快適性にも万全の配慮がされている。さらにきれい好きなご主人が希望した勝手口から浴室へ直行できる動線など、ライフスタイルに添った工夫もあちこちに。「玄関から続く土間と開放的な吹き抜けは、4年前にサンプロさんで改修してもらった母屋との共通点なんですよ」というご主人の言葉からは、ふたつの家族をつなぎたいという深い思いも感じられる。
吹き抜けに走る立派な梁は、堂々たる風格がまるでLDKの守り神のよう。歴史や絆を受け継ぎつつブラッシュアップを遂げた新居は、今後の暮らしも末永く見守ってくれるはずだ。

東側に設けた玄関から中に入ると、奥行きのある土間と開放的なLDKが迎えてくれる。吹き抜けを走る豪快な梁やアイアン階段など、今と昔が見事に融合し、新築では出せない味わいと大人びたクールテイストが素敵

左/ダイニングを照らすのは、北欧のブランドUMAGEのペンダントライト「Asteria(アステリア)」のぺトロールブルー。キッチンを中心に、水回りからリビングへと回遊できる
右/グラスが幻想的に光るキッチンや空間イメージに合わせて選んだソファなどが調和し、納屋だったとは思えないほどモダンな空間。オープンシェルフ付きのトクラスのキッチンは、管理栄養士である奥さまのチョイス

左/書斎のピクチャーウィンドウから見える青空と木々の緑。「ふと目を上げてこの風景が見えるのは幸せです」
右/階段を上がると現れる2階のセカンドリビング。必要に応じ、後々個室にすることもできる

吹き抜けに面する書斎。腰壁にすることも考えたが、階下の家族とのつながりを考え、オープンなアイアンの手すりとした。背面の書棚は棚が可動式で、天井までたっぷりの大容量

清潔感のある白でまとめ、広々としたランドリールーム。時短のため採用したガス乾燥機は専用台を造作。「洗濯機と乾燥機の取り出し口の高さをそろえてもらったので使いやすいです」

縦スリットの窓が明るさを届けるトイレ。幅広のカウンターは何かと便利

キッチンの床は手入れのしやすいフロアタイルに。キッチンからパントリーは一直線だが、袖壁があることで中が見えにくく、生活感をうまく隠してくれる

サンクンリビングは掘り込みフロアの落ち着きとフロートタイプTVボードの浮遊感、間接照明などが相まって、どこか幻想的な空間。エアコンは造作収納の中に収めてすっきり

大開口から注ぐやさしい光に包まれ、愛車を眺める至福のひととき。薪ストーブを囲む冬もまた楽しみ

  • Before

  • After

左/以前の外観。「思い出を残したい」と右手に見える腰壁の傷はあえて修繕せず、リノベ工事後もそのままに残されている
右/手前側が今回の改修部分で奥は母屋。外壁は母屋と同じモルタル塗りを選んだが、違和感の無い仕上がりはさすがのプロの技

Owner's Voice
古材など、残せるものは活かしたいという想いがあったので、それを叶えていただけたことと、家具や照明なども含めてモダンで素敵な内装へと仕上げてくださったことにとても感謝しています。リビングのソファに腰掛け、土間のバイクを眺めるのがとっておきの時間です。
Builder's Voice
インテリアコーディネーター
宮坂美緒里さん
1階の床に使用した高級感のあるブラックウォールナットを基調に、質感も含めて家具・内装の統一感を意識しました。アクセントにあしらったのは、奥さまの好きなブルー。照明や収納扉にさりげなく取り入れ、特別感を感じていただけるよう配慮いたしました。

Plan & Data

築年数
150年
構造・工法
木造軸組工法(2階建て)
延床面積
131.95㎡(39.84坪)
リフォーム面積
131.95㎡(39.84坪)
工期
8カ月
竣工
2022年7月

著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「ナガノの家リフォーム・リノベーション」VOL.6より転載しています。
こちらの情報の著作権は、株式会社長野こまちに帰属します。

VIEW ALL
ホーム > 茅野市/リノベーション/明治時代の古民家から150年の歴史と現代美が同居する邸宅へ