光に包まれた3階建ての白い家

光に包まれた3階建ての白い家 松本市/I様邸/家族構成:4人

Story

立地条件を考慮し、写真正面の南側には大きな窓を設けず、採光と通風に特化させた。その光が白い室内をより美しく魅せる。

ふつうの家らしくなく、しかもくつろげるように

外観も屋内も真っ白な家である。本当に住まいなのかと疑うほどで、その徹底ぶりがいさぎよい。そして、どこまでも白さを追い求めた先に、この家が手に入れたものがある。光が綾なす世界だ。照明の光も自然光も、白だけの世界に映りながら、溶けながら、戯れる。白は光のページェントのための装置なのだ。
住まいづくりにあたり、Iさんは二つの工務店に相談した。一方は、自分のデザインやアイデアを尊重し、忠実に住まいに仕立てたプランを提出してくれた。もう一方は、自分のコンセプトを理解しながら、そこへ絶妙なアレンジを加えていた。どちらもプロの仕事だと感じた。
値段は前者が予算内だったのに、後者はオーバーしている。丹念に調べてみると、価格差は仕様の違いにあった。端的に言えば後者の方が見えない部分にコストをかけていた。Iさんが選んだのは後者、つまりサンプロ建築設計である。
住まいづくりは工務店とのキャッチボールのようだ。自分が投げたのを少し上回るスピードで返されたボールがミットに収まる感触に、Iさんは心地よさを覚えた。サンプロを選んだもう一つの理由である。

左:すっきりした白の3階建てでありながら、2階部分の張り出しや屋根の傾斜がアクセントとなり、デザイン性が高い。/ 右:ショールームのようにスタイリッシュなダイニングキッチン。自然光と照明が、白の世界を彩る。

左:階段を下りた右手の扉は、床のタイルと合わせた鏡面仕上げに。/ 右:玄関から階段を見る。左手が寝室で、間接照明をつけたスリットを挟んでバスルームという間取り。

左:キッチンの収納もフラットな白。タイルの床とともに、光や影の映り込みが素敵だ。/ 右:キッチンから横に延びる造作のダイニングテーブルがスマート。家族も自然と集まり、会話も弾む。

照明や人影の映り込みの美しさを愛でる

I邸は3階建てだ。1階は主寝室とバスルーム、2階はLDK、3階は子供部屋が二つ。家族4人のための3LDKを縦につなぐ。敷地は十分広いのに3階建てにしたのは、南面から十分な日照を得られない立地のため、建物をなるべく北側に引いて採光とゆとりを確保したかったから。
白という舞台装置とともにご主人がこだわったのが照明である。リビングの天井の間接照明、ダイニングキッチンのスポット、壁のスリットに仕込まれたライト、そして階段のフットライト。色彩とともにこの家を「普通」の枠から超えさせているものは、照明の力だろう。なかでも階段のフットライトは独創的だ。一方の壁にLEDライトを埋め込み、反対側へピンポイントで照射している。
この階段の照明と、最小限の間接照明だけ点けて、リビングのソファにくつろいで映画を観るのが最高の贅沢だとご主人はいう。この家は夜を楽しむ家でもある。
奥様は、同じソファに昼間腰掛け、食卓に着いた仲のいい二人の息子さん越しに、東の窓の眺めを見るのが喜びだという。白の世界に光と一緒に戯れるのは、家族四人の笑顔である。

左:天井の間接照明がクールなリビング。テレビやコレクションボードも気持ちよく壁に収まっている。/ 右:階段には一段ずつLEDのフットライトがはめ込んである。照明でほのかなピンクに浮かび上がる踏み板が印象的。

左:3階の北側はファミリースペースで、今は二人の息子さんの勉強する場所。ここから眺める北アルプスも格別。/ 右:子供部屋の床は、無垢の木を使った。温かな落ち着きがある。

左:電子ピアノが置かれた上の窓が東側。横長の窓が切り取る山並みも家族のお気に入り。/ 右:リビングのテレビ、エアコン、スピーカー、コレクションボードはすべて壁にぴったりと埋め込まれ、すっきりした印象が際だつ。

Owner’s Voice

自分のコンセプトを理解しながら、絶妙なアレンジを加えてくれた

  • Q1家の中で一番大切なモノは?

    >家族のくつろぎの場。客間もあえて設けなかった。

  • Q2こうしておいてよかった、と思ったことは?

    イメージどおりの色と間接照明。特に夜の雰囲気が大好き。

  • Q3このビルダーさんに頼んでよかったことは?

    スタッフや職人さんが、自分たちを大切に思い仕事をしてくれたことが嬉しかった

Plan & Data

敷地面積
181.08㎡(54.77坪)
延床面積
109.34㎡(33.07坪)
1F面積
34.12㎡(10.32坪)
2F面積
43.75㎡(13.33坪)
3F面積
31.47㎡(9.52坪)
設計者のこだわり
白い空間のモダンな3階建て。電気関係のお仕事をされているご主人がこだわった照明計画。階段の一段一段にLED照明。玄関を入るとシンボルツリーを照らす照明。ホール、リビングには間接照明。壁の中に作られたコレクションケースにも照明を入れられ、スッキリとした中にもお施主様のセンスの良さが表れています。

著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.22より転載しています。
こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。

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