2階リビングから北アルプスを望む家

2階リビングから北アルプスを望む家 安曇野市/Y様邸/家族構成:4人

Story

シティホテルか新進作家のギャラリーを思わせるモダンな玄関ホール。タイルの床もクールさを増している。

クールな1階とやわらぎの2階をつなぐ吹き抜けの工夫

玄関扉を開けると、白く透徹した世界が広がる。のぞき込むものの姿を偽りなく写す静かな水面のような、あるいは、澄みきった音色がどこまでも高く響くタイトなピアノ演奏のような、そんな空間だ。そして、吹き抜けやハイサイド・ライトからは、まるでプラチナの細かな砂が降るように光が差す。その下でガラス越しのインナーガレージでは愛車が駆られる時を待つ。クールだ。
2階では、張りつめていた空気がすっとほぐれるように、穏やかなくつろぎに包まれる。西側の窓からは北アルプスの山並みと安曇野の田園風景を望む。吹き抜けを中心にして、リビング、ダイニングキッチン、ファミリースペースがぐるりと囲む。全体が一つの部屋のようで、とても伸びやかな空間だ。
南側や東側の開口は大きくないが、ハイサイド・ライトから効果的に光を取り込んで、室内には清涼感とやわらぎが満ちている。クールな玄関ホールを中心とした1階から、木肌の心地よい優しさに触れられる2階へと、甘さを感じさせることなく建物全体の品位が保たれている。変化の中にある美しい統一感こそが、この住まいのポイントなのだろう。

左:インナーガレージを備えたボリュームのある外観。白を基調とし、差し色のように効かせた木部がスタイリッシュだ。/ 右:ダイニングの先のチェッカーガラスの扉がニュアンスのある明かりを届けてくれる。

右:正面と左手のハイサイド・ライトからの光が、リビングダイニングをさわやかに包む。その光は吹き抜けを伝って1階まで届く。

吹き抜けを巡るように連なったリビングダイニング。
白く塗った梁や柱がナチュラルとモダンのバランスをとっている。

1階ロビーでは、ガラス越しにインナーガレージに収まる愛車を眺められる。車好きにとって至福の空間。

品位ある白をテーマにしたインナーガレージのある住まい

雑貨目当てで立ち寄ったサンプロのショールームで、自由設計の家も提案していることを知ったYさんは、そのデザインセンスやコンセプトに魅了された。自然素材といえば、ナチュラル系ばかりなのに、サンプロの家は、自分たちが求める洗練に応えてくれると思った。
ご主人は「インナーガレージがあって、お風呂から常念が眺められればいいから」と、プランニングを奥様に任せた。実は奥様にはアパート住まいのころから何年も温めていたアイデアがあった。それをイメージ画にして、サンプロの担当者と話し合う。モダン系が好きなご主人の想いを大切にしながら、女性らしいたおやかさで家族を包む空間をつくり、ほんの少しだけ隠し味に可愛らしさも入れた。設計者との話はとんとん拍子に進んだ。
ご主人の世界観を反映した1階と、奥様らしさを表現した2階。趣の異なる二つの階層を、ごく自然につないでいるのが吹き抜けだ。さすがはご夫婦、根底に流れる白の世界のイメージは共有している。そのうえで互いの願いを上手く溶けこませた。「サンプロさんの提案のおかげです」と奥様はいうが、きっと「こんな家をつくりたい」と話すときも、芯が一本通りブレがなかったのだ。 無駄と贅沢が違うことや、シンプルさと素っ気なさが違うこと、温もりと甘ったるさが違うことを頭では理解していても、暮らしぶりとして表現することは難しい。Y邸でそれがかなっているのは、住まい手とつくり手の巡り合わせが、ほんとうによかったからだろう。

左:床の無垢材の質感と響き合うカウンターキッチン。天井や壁を反射する光も空間に上質さをプラスする。/
右:A ガレージ上に位置するワークスペースは本棚で仕切って活用。こちらはご主人の書斎。
  B 1階洗面所。白の世界の質感を損なわないシンプルな造形。
  C 1階の和室。こちらもご主人のセンスでシックな趣に。

左:キッチンカウンターからダイニングテーブルがまっすぐ連なる。これと平行するキッチン収納は長さも幅も十分で使い勝手がいい。/ 右:リビングからは安曇野の田園風景とその向こうに北アルプスを見晴らす。バスルームからの眺めも最高。

Owner’s Voice

キッチンに立つと家が一部屋に感じる間取り。
センスに裏打ちされた提案が嬉しかった。

  • Q1成功ポイントは?

    >視線が邪魔されない2階でアルプスの眺めを楽しみたい、インナーガレージがほしい、きりっとした白を基調にしたい、そういったイメージは明確にあったものの、1階と2階という縦の空間を吹き抜けでつなぐという提案をいただいたこと、自然素材の家なのに、私たちが望むすっきりとした洗練を上手に表現してくださった、サンプロさんのセンスの良さに感謝しています。

  • Q2こうして大正解!

    1階では、床をタイル張りにしたり、ガレージの愛車をガラス越しに見られるようにしたのがよかった点です。 2階では、キッチンに立てば全体が見渡せる配置や、冷蔵庫も収まるパントリーにして扉で家電類を隠せるようにして大正解。リビング脇の小部屋にほんの少し可愛さを入れた点も気に入っています。

Plan & Data

敷地面積
300.12㎡(90.78坪)
延床面積
193.72㎡(58.68坪)
1F面積
107.86㎡(32.63坪)
2F面積
85.86㎡(25.97坪)
設計者のこだわり
Y様の希望は「(西側に位置する)北アルプスを毎日眺めたい」ということでした。 東面の開口部をあえて少なくし、安曇野の景色を美しく切り取る窓を西側に配置することで、室内により開放感が増すように設計しています。1階ホールと2階LDKをつなぐ吹き抜けに設けたハイサイド・ライトを通して東や南からの陽光が室内に降り注ぐY邸。心地よい光に満ちた暮らしを存分に愉しんでいただけたらと思います。

著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.21より転載しています。
こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。

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