COLUMNコラム

2020.04.01

ZEHの補助金はどうすれば貰える?補助金の要件からスケジュール・注意点まとめ*

高気密・高断熱でエネルギーも創れるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の家に、憧れている方も多いのではないでしょうか。

 

暮らし始めてからはもちろん、建てる時も「補助金が得られる」というメリットがあるZEHの家。

今回はZEH支援事業の概要や補助金について、2019年度の情報をもとに紹介します。

 

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とはなにか?

ZEHを簡単にいうと、省エネ家電などによって家庭で使うエネルギー量を減らし、また太陽光発電システムでエネルギーを創る家のこと。

エネルギーの使用量と創る量がほぼ同じになる家であることから、「ネット・ゼロ・エネルギーハウス」という名前になりました。

 

ZEHは断熱性や気密性に優れた家もありますから、エアコンを利用しなくても一年中快適な空間を実現でき、光熱費も大幅に削減できるのが特徴です。

 

一般的な住宅よりも設備にコストがかかり建築費用も高くなるという難点もありますが、国から補助金が得られることや太陽光発電システムの余剰電力で売電収益を得られるなど、デメリットをカバーする魅力もあります。

 

ZEHを満たす主な要件

ZEHの家として認められるには、いくつかの要件を満たす必要があります。

このうち、大前提となるのが以下2つの要件です。

 

ZEHロードマップの「ZEHの定義」を満たすこと

SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録したZEHビルダーが設計から建築、販売した家であること

 

ZEHロードマップとは、経済産業省が定めたZEHの指針のようなもの。

このなかで、高性能な躯体や断熱基準、省エネ設備、太陽光発電システムに代表される創エネシステムなど、ZEHの要件が細かく定められています。これが、「ZEHの定義」です。

 

また、ZEHを建てられる施工会社は決まっています。

SIIという団体に加盟している会社でなければ、補助金申請もできません。

ZEHを検討されている方は、まず施工会社がSIIの指定したZEHビルダーであるか確認するようにしましょう。

 

2019年度ZEH支援事業の概要

国は「ZEH支援事業」という制度を設け、ZEH住宅の普及に力を入れています。

この制度によって、ZEHの家を建てる方には国からの補助金が受けられることになっています。

 

ZEH支援事業の内容は毎年異なりますので、ここでは2019年度の概要をもとに説明しましょう。

 

ZEH支援事業は大きく5つに分けられますが、このうち戸建住宅向けは以下の4つの補助金制度になります。

 

・(1ZEH支援事業

・(2ZEH+実証事業

・(3ZEHR強化事業

・(4)先進的再エネ熱等導入支援事業

 

それぞれの事業の具体的な内容については、以下で紹介します。

 

ZEH支援事業の種類と特徴

 

ZEH支援事業

オーソドックスなZEHを建てる際には、こちらの事業が関係します。

ZEHの定義」を満たし、空調設備や照明設備など一次エネルギー消費量の削減効果が20%以上ある家に対して、補助金が支給されます。

戸建住宅の補助金額は、定額70万円です。

 

なお、蓄電システムを導入する場合、2万円/1kWhの追加補助もあります(補助対象経費の3分の1または20万円のいずれか低い額)。

 

ZEH+(ゼッチプラス)実証事業

ZEH支援事業の家より、高性能な住宅を建てる場合には、こちらの事業が関係します。

ZEH+では「ZEHの定義」を満たし、一次エネルギー消費量の削減効果が25%以上あることを求めています。

 

削減効果がわずか5%アップするだけですが、これをクリアするには使用する断熱材や工法などが限られてきます。

またHEMS(高度エネルギーマネジメントシステム)の導入や電気自動車の充電設備を設置なども条件とされており、ZEH支援事業よりハイスペックな家を建てることが求められます。

 

補助金額はZEH支援事業より高く、戸建住宅は定額115万円。蓄電システムの補助は対象外です。

 

ZEH+R(ゼッチプラスアール)強化事業

ZEH+(ゼッチプラス)実証事業の要件をすべて満たしたうえで、停電時の対応機能や一定の能力以上の蓄電システムまたは太陽熱利用システムを備えた家に、補助金が支給されます。

 

停電時の対応機能とは、居室の電源を確保できればOK

そのためには蓄電システムが必要になるでしょう。なお蓄電システムは必須ではなく、太陽熱利用システムといずれかを選択することになります。

 

戸建住宅の補助金額は、定額125万円。蓄電システムを導入する場合は、2万円/1kWhの追加補助(補助対象経費の3分の1または20万円のいずれか低い額)。

太陽熱利用システムを導入する場合は液体式が17万円、空気式が60万円の追加補助もあります。

 

先進的再エネ熱等導入支援事業

ZEH支援事業」または「ZEH+実証事業」で補助金交付が決定している方が受けられる制度です。

それぞれの要件に加え、「CLT(直交集成板)」「地中熱ヒートポンプシステム」「PVTシステム」「液体集熱式太陽熱利用システム」の4つのシステムを追加した場合に適用されます。

 

聞きなれない設備だと思いますが、CLTとは特殊な厚型パネルのことで壁や床などに用いて断熱効果を向上させる建材です。

また、PVTシステムは太陽光発電システムと太陽熱集熱器が一体となったシステムを指します。まさに先進的な設備を採用したZEH といえるでしょう。

 

補助金額は、90万円が上限。ZEHと併せて申請するなら最高160万円、ZEH+なら最高205万円が受けられます。

なお、蓄電システムを導入する場合は、2万円/1kWhの追加補助もあります(補助対象経費の3分の1または20万円のいずれか低い額)。

 

 

各補助金の申請方法

ZEHの家は、指定された施工会社(ZEHビルダー)でなければ建てられません。

このため、補助金の申請は、ZEHビルダーが行うことになっています。

申請書類もZEHビルダーが作成するので、施主はその書類にサインをするのと印鑑証明を用意すれば申請完了です。

 

なお、補助金申請をする際には「建築確認申請」も提出します。

建築確認申請は、これを出せばすぐにでも工事を始められるというものです。

つまり、間取りや設備など細かな要件まで詰めておかなければ建築確認申請を作成できませんし、補助金の申請もできませんので、スケジュールに余裕をみて動くようにしましょう。

 

各補助金のスケジュール

申請するうえで注意しなければならないのが、「申請期間が決まっていること」。

いつでも受け付けているわけではありませんので、補助金を検討されている方はスケジュールをチェックしておく必要があります。

 

また、申請期間も年によって異なります。以下は2019年のスケジュールですが、2020年以降は変更になる可能性がありますので、アンテナを張って逐次チェックしましょう。

 

  • 2019年度ZEH支援事業の公募期間

・【一次公募】201963日(月)~201967日(金)

・【二次公募】201971日(月)~201975日(金)

・【三次公募】201985日(月)~201989日(金)

 

2019年度は3回の公募期間がありました。

 

この公募に通過すれば、施工が始まります。

家が完成したら、施工会社は実績報告を提出することになりますが、これも期間が決まっています。

 

ちなみに2019年の実績報告は、一次公募が20191220日まで、二次公募は2020124日まで、三次公募は202027日まででした。

 

この報告を終えて、ようやく補助金が受けられるという段取りです。

 

ZEH補助金申請における注意点

スケジュールのところでも伝えたように、ZEH支援事業の補助金申請は公募形式です。

 

そもそも、この事業は国が予算を決めて実施しています。

以前は予算がなくなった段階で締切となっていましたが、申請者が多くなってきたこともあって現在では抽選で交付者を決定する形式になっています。

 

このため、申請すれば誰もが補助金を受けられるわけではなく、審査に通過した方のみが対象となりますので、ご注意ください。

 

仮に、落選した場合には、次の公募に募集することも可能です。

その際の注意点として、完成時期が遅れることも把握しておきましょう。

 

補助金を申請する条件の一つに、交付が決定してから工事を始めることが求められています。

もし、一次公募で落選し、二次公募に募集するとなれば、その1ヵ月間は工事を始められませんので完成も1ヵ月後ろ倒しになってしまうことを理解しておきましょう。

 

まとめ

ZEHについて、国は2020年までに新築注文住宅の半数以上を、2030年までには新築住宅の標準化を目指すと掲げています。

ZEHの家を増やすのは国の目標でもありますが、ZEHが標準的な家になると補助金事業を設ける必要がなくなるかもしれません。

 

2020年度に向けた動きですが、環境省はZEH支援事業に今年度より1億円多い約65億円の予算を要望しています。

ただし、より普及を目指すため一戸あたりの支援額を60万円と、今年度より10万円少なく見積もっています。

 

最終的に決まるのは2020年の3月ごろですから、まだどうなるかわかりません。

補助金の活用を検討されている方は、今後の国会の動きにも注目したいところです。

 

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