引き算の美学と足し算の賢さと

引き算の美学と足し算の賢さと 松本市/K様邸/家族構成:4人

Story

「引き算」上手は暮らし上手

純白のチーズケーキあるいはギモーヴみたいな家だ。角ばっているのに可愛らしい。パティスリーのショーケースを覗いているみたいにワクワクする。
Kさん夫妻は、ご主人が転勤になっても県内を動きやすいよう、松本に家を建てることに決めた。上のお子さんがもうすぐ小学生だからタイミングもいい。
工務店を選ぶのに本誌を買い、どの家がよかったか「せーの!」で言い合ったら、それがサンプロの家だった。「自然素材を使っているのにナチュラル過ぎない」と奥様、「シンプルなんだけど質感が高い」とご主人。
K邸は、室内も白を基調にした、すっきりした住まい。しかも簡素なだけでなく、実際の生活のことがきちんと考えられている。住まいづくりにおける「引き算」と「足し算」の妙だ。
「必要なものだけで暮らしたい」という哲学が、家のあちこちに生きている。たとえば、リビングに畳コーナーは要らない。便利だからと服を仕舞い込んで、着ない服が増えそうだからウォークイン・クローゼットもなくていい。食器棚も必要最小限のものが収まればOK。
これだけで過ごせばいいと思えると、すごく自由な気分がする。だから、自分たちの暮らしに要らないものを徹底的に吟味して、とにかく「引き算」した。するとどうだろう。こんなに暮らしやすい家になった。奥様のお手柄である。

左:夜景は小さな窓からもれる灯りが印象的だ。とりわけ明るい玄関が、家全体で「お帰りなさい」と言っているよう。/ 右:リビングに入るドアも無垢材の白。ワッフル模様のガラスが可愛らしい。シンプルなだけでなく、中にはきっといい時間が待っていると思わせる質感がある。

左:青空に映える真っ白な住まい。キュービックな外観は、シャープな印象もあるが、むしろキュートな洋菓子を思わせる。右側に張り出しているのは、バスやトイレなど。/ 右:壁と天井は白でシンプルに。床は無垢のナラ材をブラッシング加工したもの。ほどよいナチュラル感を備えたLDKは、おしゃれなカフェにいるような気分になる。

すべてがすっきりして無駄を感じさせない空間。オーダーメイドキッチンのステンレスもクール。
キッチン脇の扉は、パントリー兼家族用玄関で、出入りや食品などの物を置くにもすごく便利。

スマートな「足し算」で心地よく

効果的な「引き算」は、まだまだある。システムキッチンは自分には無駄が多いからオーダーに。レンジ下の棚は、オープン式のスライドバスケット。魚はフライパンで焼くからグリルは要らない。シンクは浅い方が断然掃除しやすい。 必要なものだけでミニマムに暮らすことに、豊かさを見出す人たちが増えてきた。Kさんもそんな家族だ。大切なのは、人の評価に惑わされないこと。
ただ、自分たちの考え方を家にするとなると、なかなかイメージが浮かばない。「だから、サンプロさんの一歩踏み込んだ提案が助かりました」と夫妻は声をそろえる。「こう暮らしたい」と話すと、ツボにはまった提案がもらえる。だから住まい方の的が絞れる。
たとえば、初めはリビングを吹き抜けにしようと考えた。しかし、サンプロのアドバイスで天井を張り、2階を広くした。階段を上がってすぐに広がるオープンスペースは、パインの床が素足に気持よく、子どもたちも大のお気に入り。
どうやらサンプロの提案は、「引き算」を形にするだけではない。賢い「足し算」にもポイントがある。
K邸には、いわゆる主寝室や共有クローゼットがなく、夫婦の部屋が別々にある。自分の持ち物は自分で管理するのが決まりだからだ。ただし、個室として完全に仕切るのではなく、空間に一体感をもたせた。将来家族の変化に合わせて間取りを変えられる自由度もある。
奥様の希望でつくった物干し用のサンルームは、室内であって屋外のようだ。風も日差しもたっぷり入る。同じ白でもキッチン周りは掃除しやすさを考慮しタイルにする。洗面所にあしらった大理石、リビング扉のワッフル模様のガラス、壁のニッチの使い方、トイレの意匠に至るまで、心憎いまでの配慮だ。
すべてが奥様の「引き算」を生かしきるスマートな「足し算」である。やっぱり、「我が家」とはいいものだと思う。

自分にとって必要なものだけで構成したキッチン。レンジ下はオープンにして、スライドバスケットを備えた。
タイルの壁は、汚れたらすぐ拭けばいい。吊り戸棚の上は、「ホコリがたまらないように」すき間をあけずにぴったりと収めた。

左:洗面脱衣所は、ナチュラル色の大理石タイルのおかげで、より温かみのある空間に。洗面台下の棚も、扉がない方が使い勝手がいいからオープンにした。
右:A 壁のニッチを利用した棚は、収納に役立つだけでなく、照明を上手に効かせてあげればインテリアも兼ねる。
B こちらは奥様の部屋。「大きな共有のクローゼットをつくるより、個別の方が着替えもしやすいと思って。クローゼットの扉はない方がモノが片付き、余計な服も買わずにすみます」。自分たちの生活スタイルをイメージしつくしたからこそ、できたプラン。
C グレーに塗ったパインの床が広がる2階のオープンスペースは、寝室や子供部屋として利用。右手の扉の向こうはサンルーム。洗濯物には格好の風と日差しが入る上、虫や雨降りの心配からも解放された。

生活スタイルを熟慮した末、夫婦のプライベートルームを別々に設けた。
こちらはご主人の部屋。服も他の持ち物も、ご主人のものは全部この部屋で本人が管理するのだとか。

Owner’s Voice

冬、暖かく、結露もないので、とても快適です。

  • Q1サンプロを選ばれた主な理由を教えてください。

    シンプルでモダンなのに、実は自然素材をたっぷり使った安心安全な家づくりをされていたからです。

  • Q2家を建てるときに「こだわったこと」を教えてください。

    できるだけシンプルにスッキリと。でも機能的、実用的であることを大切に考えました。

  • Q3家での「お気に入り」の場所とその理由を教えてください。

    キッチンです。自分たちにとって必要なところに、必要なモノだけを収納できるようつくっていただいたので、とても使いやすく、かつ片付けやすいです。それから、階段を上がるとすぐに2階のフロアが広がっているのも、開放感があってとても気持ちがいいので気に入っています。

  • Q4実際にサンプロの家に住んでみての感想を教えてください。

    冬、暖かく、結露もないので、とても快適です。サンプロさんは、何度も打ち合わせを重ね、私たちの生活スタイルをいっしょに考えながら、必要のないモノを極力削った実用的な家づくりをしてくださいました。おかげで、家の中には無駄なところがまったくなく、なんでもない日常の生活そのものが満ち足りていると感じられます。また見た目や間取りはもちろんですが、むしろ家の基礎やしっかりした木の骨組みなどが、本物の木の家に住んでいるんだという自信や安心感につながっていると思います。

Plan & Data

敷地面積
226.22㎡(68.43坪)
延床面積
116.38㎡(35.20坪)
1F面積
57.36㎡(17.35坪)
2F面積
59.02㎡(17.85坪)
設計者のこだわり
高速道路近くの分譲地の一画に立地しています。東側には工場があるので、壁面を多くし、あえて開口部を少なくしています。その結果、道路から見ると白い壁にスリット状の窓がアクセントとなるたたずまいに仕上がりました。無垢のナラフローリング、珪藻土の塗り壁など一つひとつの素材にもこだわり、すべてに思い入れのある家となりました。

著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.18より転載しています。
こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。

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