パティオのある家安曇野市
STORY
スペイン発祥の空間を安曇野の暮らしに活かす
「せっかく安曇野に住むのだから、屋外で心地よく過ごしたい。でもプライバシーはまもりたい」。
こんな願いに答えて、スペイン語で「中庭」を意味するパティオをアレンジし、外からの視線を気にしないで済む屋外空間をつくり出した。
住まい手の要望に合わせた自由設計ならではの快適性あふれる注文住宅だ。屋外でも視線をゆるやかに防ぐ仕掛け
敷地はJR線のとある駅のすぐ目の前。
当然ながら駅からよく見える。
そこで設計者が提案したのが、外観のシンボルにもなっている「パティオ」。
LDKに面した南側の一部を、パティオ=中庭を囲む回廊のごとく連続アーチのついた壁で囲むことで、ほどよく外部からの視線を遮りつつ、閉塞感なく屋外を楽しめる快適な空間ができあがった。
これなら、バーベキューや日向ぼっこも思いのままだ。
パティオとパントリーをつなぐウッドデッキも10畳分の広さがあるから、屋外空間を思う存分楽しめる。子どもの遊び場が風通しにも活躍
かね折れ階段の踊り場から出られるスキップフロアは子どもたちの遊び場。
造り付けのカウンターが勉強机にもなる。
また、和紙表の縁無し畳は触り心地よく、昼寝に最適のスペースだ。
一方で、家の中心にあり吹き抜けとつながっているから、風通しにも効果的。
スペースとしての役割と温熱性能の要を兼ねた、働き者の空間なのだ。空間に変化をもたらす吹き抜けとブリッジ
LDKと水回りを配した1階と個室を配した2階をつなぐ、リビング上部の吹き抜け。
風通しと、下にある薪ストーブで暖めた空気を2階に送る役割を持っている。
それだけなら必ずしも珍しくないが、ひときわ目を引くのは、吹き抜けの中心にブリッジがあることだ。
これは西側の主寝室と東側の子ども室をつなぐ廊下の役割があり、使われる頻度の高い動線である。
このような生活動線で、ちょっとしたスペクタクル気分を味わえるのは、まさに自由設計の妙といえよう。身も心も暖めてくれる薪ストーブ
誰もが一度はあこがれる薪ストーブ。
ただし薪の入手方法や置き場の確保、煙が気にならない隣家との距離など、都会の人間にとってはハードルが高いのが実情である。
だからこそ、ハードルを全てクリアできるこの家では、室内の中央に赤い薪ストーブを設置した。
これ1台で家全体が暖まるし、何より薪の炎を眺めるだけで、長い時間過ごすことができる。
また、ここで選ばれた薪ストーブは、アンコールというロングセラーで、料理に向いていることで有名。
心のこもった煮込み料理が、身体の芯から暖めてくれることだろう。